競争的資金(グラント)Q&A
助成金・補助金等に関する、よくあるご質問について解説しています。
競争的資金(グラント)とは何ですか?
資金配分主体が一般の研究者等を対象に研究開発課題を募り、採択された課題に研究資金を配分する制度です。文部科学省や経済産業省などの省庁や公益法人などの政府系機関だけでなく、民間の財団法人や企業なども資金配分主体となって様々な分野で公募が行われており、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による、科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題が採択されます。
政府系競争的資金の代表例としては、文部科学省および日本学術振興会による科学研究費助成事業(科研費)が挙げられます。
助成金と補助金とはどう違うのですか?
資金を出す団体によって助成金もしくは補助金という用語が用いられていますが、基本的に大きな違いはありません。かつては人に関する資金を助成金、人を除く費用に関する資金を補助金と呼んでいたようですが、現在では明確な区分けはなされていないようです。いずれにしても融資とは異なり、返却する必要がないお金です。
ちなみにNPO支援税制においては、補助金についてNPOの事業を育成、助長するための、国もしくは地方公共団体からの反対給付を求めない資金とされる一方、助成金については国・地方自治体以外の民間の基金や財団などが事業を支援する資金とされています。研究開発向けの支援資金においても、公的な機関からの資金を補助金、民間出資の助成財団などからの資金を助成金と呼ぶ傾向にあります。
このほか、研究事業を奨励するための資金として「奨励金」もしくは「奨学金」という言葉が用いられることがあります。
「助成財団」とはどんな機関ですか?
研究開発などの事業を支援するために助成金を提供する財団のことで、民法の規定で設立された財団法人が一般的です。多くは事業家や篤志家などの個人資産を母体とした財団で、若手研究者の支援や特定分野の研究支援を行なっています。
現在、2000近くの助成団体があると思われます。公的機関がカバーできない研究領域の経済的支援を行なっているところが多く、基礎研究費の減少による研究環境の悪化が懸念される日本の研究開発において、その役割はますます重要になってきていると言えます。
「委託事業」とは何ですか?
国や地方自治体、独立行政法人などが、特定の事業について特別な技術や知識を持つ組織に委託することがあります。特に研究や調査に関して行なわれるケースが多いといえます。
調査結果などの事業成果は委託した団体に帰属する一方、事業の受託者はあらかじめ決められた費用を受け取ります。 委託事業の例としては、たとえば国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が新エネルギー技術の調査・開発に関して積極的に展開しています。
競争的資金の申請をして認められる割合はどのくらいですか?
課題ごとの採択件数が予め設定されていることが多く、採択率は応募件数によって変動します。審査の結果、提案課題の中に実施すべき課題がない場合は採択ゼロというケースもありえますが、いくつかの助成財団の採択結果を確認したところでは、概ね数%~10%程度の採択率と言う事が多いように思われます。
尚、政府系競争的資金の代表例でもある科研費においては、平成28年度の採択率(新規課題)は26.4%でした。応募者の増加により数年間下がり続けていますが、政府は採択率30%の政策目標を掲げており、今後の採択率改善が期待されます。
申請が認められやすい財団はどんなところですか?
狙い目はどこかといえば、やはり競争率の少ないところを狙うのが一つの方法です。研究者としては提供される資金の金額に目が向きがちですが、金額の大きいところは応募者も多く、それだけ競争が激しいといえます。
また、研究実績が十分でない場合、いきなりメジャーな資金に応募するよりも、金額は少なくても若手支援の資金に応募する方が得策という場合もあります。
いずれにしても応募しようとする助成金・補助金についてあらかじめよく調べることが大切です。
助成・補助が決まった後、資金はすぐに出るのでしょうか?
資金をいつ手にできるのかは研究者にとって大きな関心事です。資金を早く得ることができれば、研究をその分早くスタートされることができ、他の研究者に先行できる可能性が高まります。しかし、交付決定後すぐに資金が振り込まれるといったケースはむしろ少ないと考えた方がよいでしょう。公的な団体によっては研究の終了後に経費精算というところも少なくありません。また、研究期間中に分割して支払うところもあります。
日本の基盤的研究費の半分近くを担う科研費においても、4月には採択結果が通知されるものの、科研費が入金されるのは7月以降と、研究者が資金を得るまでには数か月を要します。ただ、最近では採択が決定した場合に所属機関が立替払いを行う事で、スピーディーに研究が始められるように支援する機関も増えてきています。ご自分の所属する機関においてどのような支援策が準備されているか、一度確認してみると良いでしょう。
なお、民間企業向けの補助金、助成金については研究開発費の全額が給付されるケースはまれで、一般的には費用の半額など一部負担が多いようです。そのため、補助を受けるためには自己資金を用意する必要が出てくる場合もありますので注意してください。
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